ABOUT
2011年から字をモチーフにした染色画作品の制作を始めた。それまでは動物や植物、風景やそれらからイメージするカラフルな色彩の模様など、描きたいものを蝋纈染め技法の制約の中で自由に制作してきた。2011年に起きた東日本大震災以降、自分に何ができるのか自問自答した結果、明確な答えが解らないことに不安を感じ結局のところ芸術は何の役にも立たないというどうしようもない事実と、それでも制作しなければならないという罪悪感にも似た苦悩、そして不都合な真実は意図的に表面化されないという絶望的な不安から字のシリーズ最初の作品「惑」(2011)が生まれた。
表現することに対する苦悩の中で字を扱うことが自然な流れにあったのは、書家である母の姿を幼いころから見てきたことが無意識のうちに影響していたのだろう。
書でもなく文字でもない、新たな造形として字を変換させたとき、その形は古代より人が人へと伝えるために意味した形とは異なる形に見えてくる。独特の形は面白い造形となって新たな物語となり、時代を越えて再構築される。
自身の中で自然発生的にイメージする鮮やかな色彩は、故郷の小さな漁師町で見た四季の移り変わりと空や海の色が原点にある。蝋纈技法の重ね染めによる伸びやかで大胆な構図と、美しく楽しい鮮やかな色彩で字のカタチに新たな物語を添える。
HISTORY
府玻 杏
石川県生まれ
2011 京都精華大学芸術学部素材表現学科テキスタイルコース卒業
2013 京都精華大学芸術研究科博士前期課程染織専攻修了
2018 金沢卯辰山工芸工房入所
2012 第89回 春陽展 入選 (国立新美術館)
2012 第65回記念創造展 最優秀新人賞 (東京都美術館)
2013 TAGBOAT AWARD
2014 第70回現展 入選 (国立新美術館)
2015 第68回 創造展 損保ジャパン日本興亜美術財団賞 (東京都美術館)
2015 第57回 北陸創造展 (金沢21世紀美術館)
2016 第69回 創造展 (東京都美術館)
2016 第58回 北陸創造展 (金沢21世紀美術館)
2017 第70回 創造展 (東京都美術館)
2017 第59回 北陸創造展 (金沢21世紀美術館)
2018 第71回 創造展 (東京都美術館)
2018 第60回 北陸創造展 (金沢21世紀美術館)
2019 第75回金沢市工芸展金沢美術工芸大学学長賞
2019 Art Fair Tokyo 2019 (東京国際フォーラム)
2019 第72回 創造展 (東京都美術館)
2019 第61回 北陸創造展 (金沢21世紀美術館)
2019 Cross Artech Conference 2019 at Kanazawa (金沢城五十間長屋)
2019 Interior Lifestyle Tokyo 2019 (東京ビッグサイト)
--------------------------------------------------------------
FUWA ANZU
1988 Born in Ishikawa
2011 B.F.A Faculty of Fine Art, Textile course, Kyoto Seika University
2013 M.F.A Graduate schoo of Art, dyeing and weaving,Kyoto Seika University
2018―present Kanazawa Utatsuyama Kogei Kobo